赤い丘

日々の雑記。歯科医師。文学。哲学。酒。

朝のリレーと世界

外国に旅行に行くと、本やテレビでしか見たことのなかった世界が本当にあることに気づかされる。五感を駆使して没入することで、はじめてその世界が認識され、現実のものとなる。

一度世界を認識してしまうと、おのずと自分の中にその世界の想像の種が蒔かれてしまう。日常を生きている僕らは、ついつい自分中心の世界を思い描いてしまうが、別の世界で生きている人や生き物がいるということを心の隅においておくことで、随分世界は広くなる。

谷川俊太郎の朝のリレーという詩を読んでみて、世界中の人で朝をリレーしているんだ、という感覚がとても素敵だと思った。自分の意識の外に生きている人達のいかに多いことか僕らはあまり考えない。けれども、一度そういう世界の存在を知れば、昨日とは違った風に世の中が見えてくる。

そのような感覚を常に所有して、日々を生きたい。

ぐっと世界が広まった感覚が生まれ、精神の無限大の膨張を感じることができる。

自ら発せられる生の実感がひしひしと伝わってくる。これが生きているということか。